こんにちは、アフィニティの寺村です。
『オーストラリアに留学したいんですけど、アクセントが強いって聞いて心配で…』
留学相談の際に、このご質問をいただくことがあります。
「誰かから聞いたり、ネット記事で見たりしてきっと気になっていらっしゃったんですね」
と、どのような特徴があるかをご説明すると、ほとんどの方がそのままオーストラリアへ留学されますが、確認された上でアメリカやカナダに留学先を変える方もいらっしゃいます。
ご自身に合った留学先を選ばれるためには、オーストラリア英語の特徴を知っておくことも大切ですよね。
ここからは、音声学的なアメリカ英語やイギリス英語との違いの比較にも少し触れますが、ご自身の留学先としてどうか、という観点を中心に少しご説明できればと思います。
私自身がオーストラリアにいた頃に気付いた印象としては、日本でいう方言、「〇〇弁」のように、オーストラリアの地方によって単語自体が著しく異なったり、アクセントが変わったりということがなく、どこへ移動しても比較的同じアクセントの英語に聞こえるなあと思いました。
これには理由があり、建国して230年程の若い国なので、土地土地による方言がそこまで発達する前に、車や鉄道、ラジオやテレビが普及しアクセントが標準化したということです。つまり、オーストラリアのどこの都市に留学しても英語の発音に地域による大きな違いはない、というのが特徴のひとつです。
また、語学学校で使われる英語は、いわゆるイギリス国営放送のBBCの標準英語が採用されています。イギリスは階級や地域によって、様々なアクセントがありますが、そのクセをできるだけ排除して、すべての人に聞きやすくしたのが、RP(容認発音)となります。それを採用しているのがBBC標準英語です。
では、教室の外ではどうでしょうか。
オーストラリアで私が気付いたことのひとつに、人によって発音が微妙に違う、ということがあります。先程の、国土全体で大きな違いがないという特徴に矛盾しているようですが、音声学的には大きな違いはないのですが、元々移民が多い多民族国家なので、イギリスの農家出身者の英語、イギリス中流階級の英語、スコットランド系、イタリア系、インド系、東南アジア系、中東系など色々なアクセントが混ざった英語も教室の外では聞くことがあります。
オーストラリア英語の特徴は?
オーストラリア英語の発音の特徴として、よく知られているのは、
① “r” の音が文中や文の最後は消える(発音しない r-less)
イギリス英語と同じ特徴で、いわゆる「R」の巻き舌はありませんので、カタカナっぽくはっきり聞こえる単語もあり、日本人には発音しやすいです。ただし、文頭の「r」はしっかり発音する必要があります。また、「L」の発音をしっかり出さないと、Rが巻き舌にならない分区別がしにくくなります。
②単語やスペル(綴り)がイギリス式になる。
例:
意味 アメリカ英語 オーストラリア&イギリス英語
エレベーター Elevator Lift
1階 1st floor Ground Floor
センター Center Centre
ここまでは、オーストラリア英語とイギリス標準英語と共通する特徴でした。
一方、オーストラリア独自の特徴で、オージーイングリッシュ、「訛り」ととらえられているのがこちらの2つの特徴です。
③“ei” ⇒ “ai” の音に変わる
例:Station 「ステイション」が「スタイション」に聞こえる
Name 「ネイム」が「ナイム」に聞こえる
ただ、地元の人に聞いたところ、正確には、日本人のカタカナの「アイ」と発音しているわけではなく、日本人の「エイ」と「アイ」の間の発音らしいです。よって、カタカナ英語で、「スタイション」とか「マイ ナイム イズ 〇〇」とか言うんでしょ、とマネをしても、オーストラリア英語の発音とは違うらしく、きょとんとされてしまいます。たまに怒る人もいますので、この手のジョークは正確なオーストラリア発音の「Station」や「name」「mate」を身に着けてからトライしましょう 笑。
④語尾に「y」や「ie」に変えて単語を何でも短くしようとする
例えば、ホストファザーが「今日の夕食は、Telly(テリー)でFooty(フティ)を見ながらBarbie(バービー)やるよ!」というようなことを本当に言っていました。
ホストマザーは私が落ち込んでいる時に、「Bikkie(ビッキー)を食べる?」と聞いてくれました。
これは、「テレビでフットボールの試合を見ながらバーベキューやるよ」「ビスケット食べる?」という意味なのですが、日本に住んでいる留学生が、「テレビ」「コンビニ」や「バイト」、「マック」などの短縮形はすぐに覚えるように、特に戸惑うこともなく生活の中で使えるようになりますので、そこまで気にして覚えようとしなくてもよいと思います。生活するには意味が分かればよく、使わなくてもOKです。(できれば、使ってみたいところですけれど)
番外編 ⑤アビャウ?
あまり有名ではないのですが、ニューサウスウェールズ州に住んでいる時は、スペルの「ou」の発音が他の国と違うように聞こえました。例えば、文中や文の最後の about が、アバウトではなく「アビャウ」と聞こえるのです。現地の人に聞くと、「アバウト」って言ってるよ、と答えるのですが、調べてみたら、やはり、日本人の耳には「アビャウ」に聞こえてもしょうがない発音をしているようです。
Last week I was out and about. //lɐːst wiːk ae wəz æɔʔ ənd əˈbæɔʔ//
ー聞いて意味を理解できればよい特徴で、マネをする必要はないと思います!!
③から⑤までのオーストラリア英語の特徴についてイメージしやすい例を挙げますと、福岡の日本語学校の留学生が、学校内とテレビ・ラジオ、デパートなどでは標準語を耳にして学び、日常生活やバイト先でホストファミリーや友達の博多弁を聞く機会があるけれど、きれいな日本語標準語を話しているという環境に似ています。
ここまでは、オーストラリア英語の客観的な特徴を見ていきました。
そこで、問題となってくるのが、次の疑問です。
そもそもオーストラリア英語の「訛り」って何なの?
日本語でいう「訛り」というのは、「標準語から異なる発音」というのが定義ですが、実は標準語をイギリス英語とするか、アメリカ英語とするかで、「訛っている」という感覚が大きく変わってくるのです。
先にもお話したとおり、オーストラリアの語学学校で使われている英語の発音は、基本的にはイギリス英語からクセを無くした標準アクセントですので、イギリス英語を標準語とした場合は「訛り」はないと考えられます。⇒現地の日常生活で耳にする言葉や発音については、先程の博多弁のエピソードを参考にしてくださいね。
一方、アメリカ英語を標準語と設定する場合は、かなり訛っている(=標準後と異なる発音)と思われる方もいらっしゃると思います。
日本の公立中学校、高校で習う英語はアメリカ英語を採用していることが多く、ハリウッド映画など大多数のみなさんが聞きなれているのはアメリカ英語になると思います。
結局、オーストラリア英語は訛ってる? 留学先として問題ない?
標準発音の基準をアメリカ英語におくかイギリス英語におくかで「訛ってる」の判断が異なりますが、語学学校内で講師が使う英語は「正しい」ので、留学後にアメリカ人やカナダ人と会話して発音がオーストラリア“訛り”だからあなたの英語が通じないということはありません。
「アクセント」「なまり」を気にするよりも、もっと先に気にすべき、ボキャブラリー(語彙力)や、文法力などがある、と現地で先生から言われました。
今回の留学後にアメリカの大学に進学したい、アメリカの会社を相手にバリバリ営業したい、という目標がある方で、できるだけアメリカ英語に寄せたいと思っている方は、オーストラリアではなく、アメリカまたは同じ北米圏のカナダへの留学をお勧めしています。
しかし、日本で英語を使った仕事がしたい、アメリカ、アジアや中東、アフリカ、ヨーロッパの会社と幅白く取引きしたい、オーストラリア、ニュージーランド、カナダの大学へ行きたいというような方や、特にアクセントは気にしない、ワーキングホリデーで現地での体験の方を重視しているという方は、アメリカ英語と異なる発音だけを理由にオーストラリアという素晴らしい環境をあきらめるのはもったいないような気がします。
教室外では、確かに、ちょっと訛っているかもしれませんが...
オーストラリアを留学先として検討される場合は、アメリカ英語しか知らない方や、教室の外の英語しか聞いたことがない人たちが言う「訛りがきついよ」といった噂が、現地でやりたいことや学びたいこと、行きたいところがある皆さんの希望をかなえる妨げにならないといいなあ、とオーストラリア大好きな私は思っています。
でもそんなことはNo Worries!(問題ない、心配ない)と笑い飛ばせる明るい国です。
コロナ終息後のオーストラリア留学・ワーホリをお考えの方はぜひ前向きにご検討ください。
みなさまからのお問合せを心よりお待ちしております!
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