他の先進国に比べて、比較的就労ビザの取りやすいドイツ。しかし、日本にいながらドイツでの就職に向けて求職活動をすることは、非常に難しいのが現状です。一方で、ドイツには目下おおよそ500社の日系企業が拠点を構えており、現地の日本人向けにビジネスを展開する企業や、ヘルシー志向の昨今ドイツ人に人気のある日本食飲食店もあります。日本とドイツを結ぶこれらの企業が、現地採用で適切な人材を確保したいというニーズがない訳ではありません。また、日系以外の会社でも、ドイツと日本やアジアを繋ぐ人材を探している場合があります。ここでは、ドイツで働くにはどのような方法があるのか、就職をする際の情報をいくつかご紹介します。
* それぞれの企業・団体により条件は様々ですので、一般的な情報として参照下さい。
01. アルバイト
正規大学生のビザやワーキングホリデービザを取得している場合に現実的なのが、アルバイトです。特にワーキングホリデーの就労日数の上限は2010年6月以降なくなり、年間を通して最長365日仕事ができるようになりました。日本人が働きやすいのは、観光地の土産店等でのシーズン雇用や日系レストランなどのようです。語学が堪能な場合は、もちろん可能性が広がります。国内観光地は主に南ドイツ、その他日系企業の多いデュッセルドルフ、ミュンヘン、フランクフルトで比較的多くのアルバイト求人があります。アルバイトでは、Minijob(ミニジョブ)と呼ばれる規格内での雇用の場合が多いようです。ミニジョブとは月収450ユーロ以下の仕事で、主にパートタイム労働のことを意味します。この金額までは被雇用者には所得税や社会保障費がかからず、そのまま手取りの収入となることが特徴です。所得税が免除される関係上、確定申告も不要です。
02. 正社員
一般企業での求人条件は業務内容により様々ですが、ビジネスレベルのドイツ語もしくは英語を使えることが多くのケースで最低条件となっています。語学力に加え、特定の職種での経験や資格が採用決定の要素となります。ただし、多くが欠員募集であり、日本の新卒採用のような固定の採用時期があるわけではありません。また、現地採用においては、新人教育をしている余裕はなく、即戦力となる経験者が就職に成功しやすい傾向にあるようです。新卒の場合は、事前に企業研修をするなど、一般の社会人としてのマナーを身に付けるようにしたいものです。
料理人や美容師など、サービス業と呼ばれる業種で正社員として働くケースもあります。そのためには、その業種で一定の技術や経験を持っていることが前提となり、ドイツ人の経営者のもとで働く場合は、ドイツ語もしくは英語の一定レベルが求められます。
ドイツでの労働ビザ取得には、就職先との雇用契約が必要です。同時に、労働ビザ申請には、ドイツ人から職場を取り上げることなく日本人を必要としていることを証明しなくてはいけない場合がほとんどです。例えば、「日本とのビジネスを進めるにあたり、日本語や日本人の習慣を知っている必要がある」、「将来日本に進出する予定がある」などの理由が考えられます。在独日系企業はもちろん、その他数多くあるドイツ企業や団体の中でも日本と接点のある所を探すことで、労働ビザを獲得できる可能性は高まるかもしれません。また、ドイツにおいて専門教育を受け卒業した後の就職においては、これに該当しない場合もあり、日本人でなければいけないことを証明せずともビザが下りることもあります。各ビザに関する詳細情報は、在日ドイツ大使館またはドイツ各市の労働局(Arbeitsamt)や外人局(Ausländeramt)等での確認が必要になります。
03. インターンシップ
数ヶ月単位の職業実習(インターンシップ。独:Praktikum)は、ドイツではかなり一般的に行われています。研修先はインターネットを通じて探すか、もしくは既に特定の企業で実習したいという希望があれば、直接電話をしたり履歴書を送るなどして問い合せをします。この他、研修生と研修生受入れ企業の仲介役を担う非営利団体もありますので、そのような団体を通じて情報を収集してみるのもよいでしょう。語学学校で研修プログラムを提供している場合は、語学学校のプログラムの一環としてインターンシップを体験することも可能です。インターンシップを経験するということは、実際に企業で職場体験をするということですから、一定レベルのドイツ語(B1〜B2レベル以上の語学力)を身につけていることが最低条件となります。併せて、有効な労働許可(主に有給の場合)や学生ビザが必要な場合もあるので、事前の確認が必要です。
04. 職人研修
ドイツでは、デュアルシステムと呼ばれる「理論(教育)」と「実習(職業訓練)」からなる研修制度 (Ausbildung) が普及しています。「学びながら働き、働きながら学ぶ」というシステムで、中世から続くドイツのマイスター制度の流れを受けた制度といえるでしょう。これらの研修制度では一般的に、20歳前後の若者が2~3年間研修を受け、終了試験と共に専門資格を与えられます。日独交換サービスでは、手工業部門(パン・お菓子製造、矯正靴、フローリストなど)に関する研修斡旋を行っています。
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