すべてのスポーツにおいて選手たちを支えるなくてはならない存在、アスレティックトレーナー。
アスレティックトレーニング先進国のアメリカでは国家資格であり、資格を保持するアスレティックトレーナーは看護師や理学療法士などと同じ準医療従事者として扱われます。
子供、小中高生、大学生、社会人、プロ、どんな層であってもスポーツ環境が大規模なアメリカだからこそアスレティックトレーナーとしての学びや経験を積むことのできる環境がアメリカにはあります。
そんなアスレティックトレーナーに関する情報や、アメリカ留学を通してこれから目指していく方法をご紹介します。
ぜひご覧ください。
目次
そもそもアスレティックトレーナーとは?
アスレティックトレーナーは、各スポーツの競技者(スポーツ選手)が最高のパフォーマンスを発揮できるよう、健康管理やスポーツ障害・外傷の予防、応急処置、リハビリテーション、体力トレーニング、コンディショニングなどを行い、多様な面から競技者を支える仕事です。
リハビリのサポートやテーピングなどをする姿が印象的ですが、様々な状況において迅速で的確に動くことのできる判断力や、選手や監督・コーチ、専任の医師、同僚たちとしっかりと話をしながら最善のアプローチをプランしていくことのできるコミュニケーションスキルも重要です。
近年ではスポーツ意外にも色々な企業やNASAなどで、たくさんの人の健康管理を任される働き方も増えてきています。
アメリカではアスレティックトレーナーは、看護士や理学療法士と同じ準医学従事者として扱われ、職業とするためには、アメリカの国家資格である全米アスレティック・トレーナー協会(NATA / National Athletic Trainer’s Association )認定資格を取得する必要があります。
そして認定資格を持っているアスレティックトレーナーのことをNATA公認アスレティックトレーナー通称「NATA-ATC(NATA Certified Athletic Trainer)」と呼びます。
NATA認定資格について
NATA認定資格は、米国医学会(American Medical Association)によって認められた準医学従事者として扱われるアメリカの国家資格です。
アメリカ国内で働くスポーツトレーナーの約95%以上がNATA認定資格を持っており、NATA認定資格を保持していなければ、アメリカの様々な業界で独立したトレーナーとして活躍することができない現実があります。
現在、NATA認定資格を得る為にはアメリカの大学院でアスレティックトレーニングの修士課程を修了しなければATになるための国家試験を受けることが出来ません。
日本の高校、専門学校、大学のどのルートを通ってもアメリカの大学院の卒業は必要になりますので、そのことも考えながら進路を選んでいきましょう。
NATA認定資格の取得条件は?
1. CAATEが認定する大学院のアスレティックトレーナープログラムを卒業
CAATE(アスレティックトレーニング教育認定委員会 )は各大学のアスレチックトレーニングプログラムを管理する団体です。
CAATEに認定されている大学院は全米に約350校。
CAATEホームページから現在認定されている学校を検索することができ、費用別や学校のレベル別など自分に適した学校を調べることが可能です。
2. 規定の時間以上のインターンシップやフィールドワークへの参加(目安:卒業までに700~800時間)
大学や大学院に在籍中は部活動のサポートなどで活動していきますのでそれもフィールドワークの時間になります。また、大学外でのインターンシップ等でももちろん含まれるので、留学生活中には積極的に活動をしてく必要があります。
3. 大学院を卒業後、BOC Certification Examに合格
BOC Certification Examはエントリーレベルのアスレチックトレーナー資格を発行する機関による認定試験です。
卒業後にこのBOCの試験を合格した学生に対しは、BOCアスレチックトレーナー資格が与えられ、NATA公認のアスレチックトレーナーとして活躍することが可能になります。この資格は、日本を始め世界各国でも認められています。
こちらの試験は以下の5つのカテゴリーに関する試験になります。
- 傷害・疾病の予防と健康維持
- 臨床評価とその診断方法
- 応急処置と救急処置
- 治療的な介入の手順
- 医療管理と職務上の責任について
大学院への進路
アメリカの大学院へ進む方法は、
- 高校卒業後、2年制大学(コミュニティカレッジ)を経て、4年制大学の3年次編入をし、その後大学院へと進学する方法
- 高校卒業後に直接4年制大学へ入学し、その後大学院へ進学する方法
- 日本の専門学校や大学を卒業したのち、アメリカの大学や大学院へ進学する方法
などの留学パターンが考えられます。
高校卒業後にアメリカへ留学する例
アスレティックトレーナー留学の場合、大学院まで卒業する必要がある為、その分一般的な留学よりも費用がかさんでしまうという点がよくある悩みです。
そこで、コミュニティカレッジ(2年制大学)から進学していくという選択肢があり、費用がネックになる方へはこの進学方法をお勧めします。
コミュニティカレッジでは、学費は4年制大学に比べると大学によっては約半分ほどの費用で留学をすることが出来るため、最初の2年間で学費を節約し、長期的な留学プランとして大学院進学までを視野に入れやすくなります。
また、4年制大学に直接入学するためには高い英語力(TOEFL iBT 61~90)を入学時点で求められますがコミュニティカレッジでは英語力の基準がやや低め(TOEFL iBT 45~61)に設定されていることもスムーズな進学を進めていく上ではメリットになります。
学ぶ内容はコミュニティカレッジも4年制大学も大きく変わらず、一歩一歩着実にクラスを履修をしていき良い成績を収めていく必要があるという点は共通しているので、どの進学方法をプランしていくのが合っているのかを考えていきましょう。
日本の大学・短大・専門学校などを卒業後にアメリカへ留学する例
日本の大学や短大、専門学校を卒業後は上記のような進路選択が考えられます。
日本で大学を卒業している場合、アメリカの大学院に直接進学するのが理想的ですが、アスレティックトレーニング専攻においては可能性があまり高くないのが現実です。
理由としては、日本での単位が全て変換できず、大学院によって定められている必要な授業が履修できていないことや、求められる英語力に達しないといったことが多く起こります。
上記の理由から日本の大学を卒業後も2年制大学へまずは進学し、必要な単位を履修しながら英語力の強化を行い、フィールドワークを通して経験を増やしていく生徒が多くいます。
進学先を決める際には実際にこれまで履修した単位がアメリカの大学院でどこまで単位変換が可能であるかも知っておく必要があります。
アスレティックトレーナーのキャリアプラン
NATA認定資格を取得した後のキャリアとしては、世界最高峰の現場での従事が多くのアスレティックトレーナーの目標となっています。
例としては、
- プロスポーツ界の現場で選手のサポート(MLB、NBA、NFLなど)
- 世界で羽ばたく演者のサポート(シルクドソレイユ、ディズニーなど)
- 学生アスリートのサポート(大学、高校、中学など)
- 医療分野(病院、リハビリセンター、クリニックなど)
- その他企業でのサポート(NASAなど)
があげられます。
NATAを取得したからといって、これらの職に就けるというわけではなく、現地のアスレティックトレーナーたちとの競争にも勝たなくてはいけませんが、だからこそやりがいがあり、目指す価値のあるものです。
費用面や進学ルートなども考慮した長期的なプランを考えながら、アスレティックトレーナーを目指すぶれない信念と熱い思いがとても大切になってきます。
将来の目標も踏まえながら、留学を通してアスレティックトレーナーを目指していく方法を一緒に考えていきましょう!