- 定年まで給与がもらえる
- ボーナスがある
- 倒産することがない
公務員は周囲からは「安定している仕事」と認識されている職種の一つです。
そのため、
『たくさん予備校で勉強して、苦労して公務員試験を合格したのに、公務員を辞められるわけがない』
『ましてや仕事を辞めて海外に行ってみたいなんて周りの人に相談しづらい・・・』
そのような思いから、留学に対する思いを内に秘めて諦めてしまうかたが実は多くいらっしゃるんです。
今回は、公務員組織に約10年間在籍していた経験のある留学カウンセラーより、留学を希望する現役公務員の皆さんに3つのポイントをご紹介いたします。
目次
苦労して受かった公務員試験、頑張って手に入れた安定した収入
公務員試験を受けるに当たって、みなさんそれぞれ苦労をされたと思います。
予備校に通ったり、過去問を何度も解いたり。
家族や親戚から応援され、期待され、色々なものを背負って公務員試験に臨んだ方もいらっしゃいます。
だからこそ、転職や退職なんてそんなに簡単には決められることではありません。
また公務員は、定年まで継続的に給与をもらい続けることができ安定している代わりに、民間の会社に比べると外に出ることや新しい物を導入することに消極的な組織です。
そのため、
・海外に興味があることを周囲に相談できない
・留学したいと言うと、仕事に対する熱量がない(遊びに行きたがっている)と評価されてしまいそう
・相談しても、そんな事例は過去にないと、応援してもらえない
といった悩みを抱えてしまう人が多くいらっしゃるのです。
実際私自身も、周りの人に相談したものの「なぜ学生時代に留学をしておかなかったのか?」「気持ちは理解してあげたいが、社会人になってすることではない。」などと言われ落ち込んだものです。
それでも「留学に興味がある」、もしくは「留学することが実現可能なのかを知りたい」という方のために、実際に公務員を退職して海外留学を実現した留学カウンセラーより、以下の方法をご紹介いたします。
具体的解決策:留学のために休職?退職?
最近では、働き方改革により、昔に比べるとはるかに休暇は取得しやすくなったかと思います。
しかし、昔ながらの上司の下で働いている場合、「海外に行くための休暇なんて気軽には申請できない。」という方もまだまだいらっしゃるのが実情です。
また、公務員組織に属していながら海外に興味があるという方はあまり多くない為、周りに相談しずらいでしょうし、そういう相談に慣れていない上司・先輩がほとんどかと思います。
相談しづらい、理解してもらえないからと簡単に退職をするなんてもったいないですし、そんな決断はしない方が大多数です。
でもこのまま自分の気持ちを押し殺して公務員として定年を迎えていいのかというお気持ちも非常にわかります。
では公務員が海外留学をするためにはどうしたらいいのでしょうか?
公務員と一口に言っても、地方公務員、国家公務員など、管轄する公官庁がどこなのかによって遵守する規則は異なってきます。
所属する機関によっては、休職制度を活用して海外留学している方もいらっしゃいますので、所属する組織にて確認されることが大切です。
〈仕事は辞めない〉週末+有給で1週間から行ける超短期留学
「休暇は取りづらいけれど、1週間なら行けそう!」という方には、週末や有給休暇を組み合わせた1~2週間の短期留学をお勧めいたします。
ビザ申請の必要が無いという点でも手配がしやすいため、比較的準備期間にも時間を要しないのが特徴的です。
超短期留学は、就学だけでなく観光旅行の側面も併せ持った短期集中型のプランです。
1週間で留学と言えるのかと思うかもしれませんが、1週間からでも語学学校は受け入れてくれますし、学生の身分となるので学割が使えたりするケースもあります。(留学先や学校によります)
職場の環境から離れ、知らない土地で知らない人たちと生活をするというのは1週間でも十分、非日常を味わいリフレッシュすることができます。
〈休職とまではいかないが・・・〉職場の協力が必要!有給をまとめる1~2ヶ月留学
せっかく海外に行くのであれば、ある程度まとまった期間滞在して語学力を身に着けたり、現地に住む体験してみたいという方もいらっしゃるかと思います。
とはいえ公務員の場合、有給をまとめてとるにしても年間の仕事の割り振りが決まっていたり、繁忙期にあわせて人員配置をされていることから、自由に休暇を取れない方も多いかと思います。
そこでオススメなのは、前事務年度のうちから上司に相談の上、有給をまとめて取得する計画を相談してみることです。
例えば、有給30日+土日祝+夏季特別休暇、等を組み合わせると2ヶ月くらいのまとまった休暇になります。
非常識な休みの取り方のようにも思えますが、組織としては職員がいきなり退職して海外に行ってしまうよりは、リフレッシュした上に自己研鑽までして帰ってきてくれるなら1~2ヶ月計画的に休暇を取ってもらったほうがいいはず。
このケースは人事異動など所属組織の方の協力も必要になるため、事前に上司に相談されることをお勧めします。
〈休職させていただきます〉海外大学で学位を取得!正規留学
語学を学ぶと言うよりは、専門的なことを学び学位を取得したいという方もいらっしゃるかと思います。
ご自身の大学時代の専攻と違う学部で勉強したい方や、現在の仕事でいかせる学位を取得したいというご希望もあるでしょう。
その場合、大学や大学院に進学する正規留学を検討する必要があります。
所属する組織によって規定は異なりますが、国家公務員の場合は人事院規則において自己啓発等休業の規定が定められています。
人事院規則二五―〇(職員の自己啓発等休業)
*一部抜粋のうえ引用
第五条 自己啓発等休業法第三条第一項の人事院規則で定める場合は、学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第九十七条に規定する大学院の課程(同法第百四条第七項第二号の規定によりこれに相当する教育を行うものとして認められたものを含む。)又はこれに相当する外国の大学(これに準ずる教育施設を含む。)の課程であって、その修業年限が二年を超え、三年を超えないものに在学してその課程を履修する場合とする。
上司に相談してみると、”実は過去に公務員機関に所属したまま海外大学に正規留学したケースがある”ことを教えてもらえた、という方もいらっしゃいましたので、まずは一度確認してみるといいと思います。
なお、正規留学になるとある程度まとまった資金も必要となりますし、2年~3年の間現場を離れることになるので、今後のキャリアや将来設計を真剣に考えたうえでの選択が必要となります。
例えばアメリカのコミュニティカレッジであれば4年制大学よりリーズナブルかつ短期間で留学することもできます。(コミュニティカレッジが自己啓発等休業に該当するかは所属組織にてご確認ください。)
〈退職を決意〉海外で働きたいなら退職して就学+就労
公務員には職務専念義務があり副業はできません。
なので海外で働くことを考えている場合は、思い切って退職して海外に行くことも選択肢の一つです。
30歳までの方であればワーキングホリデーで渡航することもできます。
ワーキングホリデー:18歳から31歳(国によって対象年齢が異なります)の両国の若者が互いの国で生活し、より深い文化理解を実現する目的として締結された制度。異なった文化の中で海外生活を楽しみながら、その間の滞在資金を補うために、一定の就労も認められているビザ。
もしくは30歳を超えている方が海外で就労経験を経験したい場合は、インターンシッププログラムがついている留学を選んだり、一定条件を満たすことでアルバイトができる国へ留学するという方法があります。
他にも、ドイツで職業訓練を行うという方法もオススメです。
ドイツの職業訓練とは、給与をもらいながら専門学校もしくは企業にて実務を学ぶという制度であり、3年〜3年半のプログラムを修了することで国家資格を得ることができるものです。
いずれにせよ海外で働くためには語学力がマストになるので、自分が働きたい業種で必要とされる英語力を身につける事が重要です。
また、公務員が退職して長期の海外留学やワーキングホリデーをするということは、帰国後に日本で転職活動をすることになります。
胸を張って「公務員としての経歴」「海外経験と英語力」をアピールできるよう、ビジネス英語を身に着けたりアカデミックな語学試験に挑戦することで帰国後の就職活動に備えましょう。
元公務員が伝えたい3つのポイント
①説得すべき人はあなたの大切な人⇒しかし自分の想いを大切にできるのはあなただけ
公務員を休職もしくは退職するというアクションを起こそうとしたとき、ほとんどの方が家族、職場の上司に「考え直した方がいい。もったいない。」と言われます。
話に尾ひれがついて同僚や同期、親戚などからも心配されてしまうことは容易に想像できるのではないでしょうか?
公務員として在職期間が長ければ長いほど引き止められるでしょうし、「辞めてしまったら復職できない(復職が難しい)」、「退職金がほとんど貰えない」等不安になる話ばかりが耳に入ってきます。
そして「あなたのために引き止めてるんだ。考えなおしたら?」と言われてしまうのです。
確かに大切な家族や上司に大きな迷惑はかけられませんし、彼らの意見は最もです。
ですがそれは一般的な視点からみた『公務員の安定と幸せ』ですから、『あなたの幸せ』とは違います。
自分の想いを他人に理解をしてもらうのは難しく、自分の思いを肯定し心から応援してあげられるのは自分だけです。
②情報収集&根回し!アドバイスを頼む相手は取捨選択
情報収集と根回しはとても重要です。
公務員組織(特に国家公務員)に属していると、他省庁への交換や配置転換を経て、海外勤務のポジションを目指すこともできます。
在外公館長派遣で海外の大使館に勤務した人などは身近にいませんか?
もしかしたら自分の希望に近い仕事につける可能性があるのであれば徹底的に調べたほうがよいでしょう。
情報収集は大切ですが相談相手はきちんと選んでください。
留学したことがない、海外も興味なし、パスポートも持っていないという上司に相談したところでポジティブな意見がもらえるはずがありません。
仮に親身に話を聞いてくれた人がいたとしても、その人があなたが必要とする情報を持っていない(経験がない)場合には話を鵜呑みにせず正しいアドバイスをしてくれる人を探すべきです。
尊敬している上司やお世話になっている先輩に相談して引き止められてしまうと、心が揺らいでしまうことも忘れてはいけません。
③安定した人生?どこで誰とでも働けるスキルがあれば一生安泰
「公務員は安定している」「辞めるなんてもったいない」という言葉は退職をして留学したい人にとっては呪いのようにずっとついて回ります。(辞めた後も言われます。)
たしかに給与面は間違いなく安定していますが、挑戦したいことがある人や、個人の力(魅力)で働いていきたい人にとっては、その安定が退屈に感じてしまいます。
定年まで雇用を保証してもらえる安定は捨てがたいですが、
- どこの国でも働ける語学力
- 様々な国の人を受け入れられる異文化経験
- 新しい環境にすぐに馴染める変化対応力
これらがあれば職に困ることはなく、安定した生活を送ることができます。
大きな組織の後ろ盾がなくなることは不安ですが、どこでも生きていける自分になることで「安定」はいつでも手に入れることができます。
具体的なアクションを起こす前に
「公務員の身分のまま留学を実現する」か「公務員を辞めて留学に挑戦する」かは、簡単に決められるものではありません。
調べるのにも時間がかかりますし、今の生活水準を維持しながら海外生活をするためには資金もある程度必要です。
日々の忙しい業務をこなしながら調べる時間を作るのは大変かと思いますが、
説得すべき人はあなたの大切な人⇒しかし自分の想いを大切にできるのはあなただけ
情報収集&根回し!アドバイスを頼む相手は取捨選択
安定した人生?どこで誰とでも働けるスキルがあれば一生安泰
この私お伝えした3つのポイントを参考に、留学するか、しないかをじっくりと検討してみてください。
具体的な留学プランを詳しく知りたいOR実現可能か相談したい場合
- どこの国で留学できるか/どこの国がオススメか
- 自分が思い描く留学の場合、費用はいくらぐらいか
- 英語力がなくても留学後に転職できるか
- 実際に公務員を辞めて留学した人たちはどんな生活をしているのか
など、より詳細な疑問を解決するためには、以下のお問合せフォームからご相談ください。
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周囲にご相談しづらい方も、まずは情報収集をかねてお問い合わせください。